一橋大学大学院社会学研究科合格体験記―①入試制度編
本記事の目的
本記事では、タイトルの通り一橋大学大学院社会学研究科を目指す方に向けて、院試前に必要な準備、院試の各種書類のコツ、面接の雰囲気などをお伝えし、これを読めば過不足なく、情報の非対称性に嘆くことなく院試に臨めるようになることを目指しています。自分も情報がなかなかなく不安を抱えたまま受験をしたので少しでも参考になる方がいらっしゃれば幸いです。
おことわり
この記事では、大学院に進学して研究に取り組みたい方を主な対象としています。単に学歴(学位や大学名)の獲得・更新のために挑戦されたい方にはあまり有益な情報がありません。
入試を知る
2つの実施時期と3種の試験種別
一橋大学大学院社会学研究科(以降は社会学研究科とします)のホームページを参照すると、2つの入試時期、3種の試験種別があることが分かります。
秋期には、一般選考、特別選抜、社会人特別選考の3つの試験種別があり、春期には一般選考のみとなります。特別選抜には大学時の成績による出願条件、社会人特別選考にも出願条件が設定されています。また、試験種別によって必要な準備が異なっています。以下に秋期に実施される3種の試験の内容をまとめます。
◯秋期一般選考
一次試験…主論文・副論文の計2つに解答する論文筆記試験(いわゆる筆記試験)、書類審査
二次試験…口述試験(計画書に関する質問のほか、外国語または史資料読解あり)
◯特別選抜(出願条件あり)
一次試験…研究計画書等の書類審査
二次試験…口述試験(計画書に関する質問のほか、外国語または史資料読解あり)
◯社会人特別選考(出願条件あり)
一次試験…研究計画書等の書類審査
二次試験…口述試験(計画書に関する質問のほか、外国語または史資料読解あり)
上記を見ていただくと分かるように、現役の学部生であれば可能な限り特別選抜で受験することをおすすめします。計画書=やりたい研究に関する知識を高めていくだけで合格が狙えます。一般選考の場合は当然のように過去問を数年分用意し、念密に準備をする必要があります。さらに特別選抜を受けるメリットは試験の内容だけではありません。以下で詳しく説明します。
23年度の秋期試験実施状況
上記の表を見ると分かる通り、総合社会科学専攻の夏期入試全体では2.1倍(合格者50人に対して志願者は105人)であるものの、入試種別を見ると次のことが分かります。
◯秋期試験実質倍率
一般選抜…7.5倍(志願者数45人に対して合格者数6人)
特別選抜…1.2倍(志願者数47人に対して合格者数39人)
つまり、特別選抜の受験者の殆どは落ちていないということです。特別選抜の実質倍率は約1倍です。また、合格者数を見ても秋期の殆どの合格者を特別選抜の受験者が占めています(約8割)。逆に言えば、秋期試験で一般選考をわざわざ受ける意味はありません。
特別選抜の出願要件
特別選抜について社会学研究科は次のように書いています。
これだけ見るとかなりハードルが高いようにも見えてきますが、入試要項に書かれている条件は以下の通りです(24年度の場合)。
(1)の条件は多く(ほとんど)の方がクリアできると思います。問題となるのは(2)の条件ではないでしょうか。現役生の場合は、出願が夏なので3年の後期までの3年間の累積GPAが3.00を超えている必要があります。累積GPAの計算方法は以下です。
これを見ている方が3年生であれば、これを満たせるよう履修の組み方は慎重に検討してください。また、1、2年生の場合にも絶対に単位を落とすことは避け、可能な限りB以上を取れるよう頑張ってください。逆に言えば、3.00以上を取れて言えばかなり院試の負担を軽減することができます。これは単に楽にできるということではなく、その分卒論や院での研究の準備に時間を費やすことができるということです。
言及していなかった(3)の語学試験のスコアも重要です。ただこれは院試と就活を並行して行う方はもちろん、最近では院試の語学試験の代わりにテストスコア提出を求める大学院も増えてきているのであまり驚きではないと思います。東大総合文化研究科出身の若い先生に聞いたところ、800点以上あれば少なくとも足切りには引っかからないとのことでした。ただし優秀な留学生(特に中国)は当然のように高い英語運用能力を持っているので今後どうなるかは分かりません。TOEFL ITPも可とのことなので大学で受けられる方はできるだけ受けておくと良いと思います。
まとめ
今回は院試の制度についてまとめました。秋期(夏休み期間中)に大学院合格を決めてしまいたい方、特に一橋大学大学院社会学研究科が第一志望の方は絶対に特別選抜で受験することをおすすめします。次回以降では自分のケースをベースに、GPA3後半〜4を維持する学生生活、研究を進めるために動いたことについてまとめていきます。